ドイツ4号戦車F型
タミヤさんから4号戦車系列のニューカマー、F型が登場しましたね。
もちろんタミヤ教信者でドイツ戦車好きの私はしっかり購入させて頂きました。
まあ12月の発売なんで、もう組みててる方もいらっしゃるかと思いますが、いまだ38(t)を組立中の私にはしばらくパーツを眺めて過ごす事になりそうです。
私にとって、いつも安価で高品質と組み立てやすさを高次元でバランスさせているミリタリーミニチュアシリーズは新作が出るたび気になる存在です。
今回発売された4号戦車は、第二次世界大戦の初期から終盤まで改良を加えられつつ戦い続けたドイツ軍の軍馬とも呼ばれる存在。
A型からはじまり、B、C、D、E、F、G、H、J型と戦訓を元に強化されていきました。
4号戦車のF型とは
今回キット化されたF型は短砲身の24口径の7.5cm戦車砲KwK37を搭載した最後のタイプです。
ドイツ軍は1941年6月バルバロッサ作戦を発動しソビエトへと侵攻しますが、そこで強力な「T34」、「KV1」等のソビエト軍新型戦車と相見える事となります。
当時の主力戦車たる3号戦車や短砲身の4号戦車F型では、まともに戦っては歯が立たない高性能な戦車を、ソビエト軍が所持している事にドイツ軍は衝撃を受けます。
これが俗によばれる「T34ショック」ですね。
T34に対して有効な貫通力を持たない4号戦車F型は、巧みな戦術で比較的装甲の薄い側面や背面に回り込み距離を詰めて仕留めたり、前面からであっても遠距離から弱点である操縦主バイザー*1や車体と砲塔の継ぎ目をピンポイントで狙い撃破するような高度な技術で対抗していきます。
しかしそのような戦い方がいつまでも通用する訳もなく、T34に対抗できる戦車の開発が急務となってきます。
そこで車体の大きさ的に、これ以上大型の砲が搭載できない3号戦車にかわり4号戦車F型に急遽長砲身で貫通力に勝る43口径7.5cm戦車砲KwK40に換装、以降名称をF2型として戦っていく事となります。
「ガールズ&パンツァー」でも主人公 西住みほの駆る4号戦車は途中で長砲身のタイプに変更して攻撃力を上げてましたね。
あれは元々4号戦車がどのように改良されていったか知ってる戦車マニアにはニヤリとするポイントでした。
前期のE型から車体を再設計して随分とスタイル良くなり、度重なる装甲強化に対応するため、キャタピラも幅広に。
これ以降の4号戦車のデザインはF型で決まったと言えるでしょうね。
子供の頃は強力な長砲身7.5cm砲を備えたG型以降の4号戦車が好きでしたが、最近は短砲身の4号戦車も、この時期にしか無い独特のデザインという事で気に入っています。
そんなF型ですがキットの出来栄えは如何に!?
パーツレビュー
さて前置きが長くなりましたが、今回のF型で気になったパーツを見ていきましょう。
しばらくタミヤの戦車作ってないな~って方にも、ミリタリーミニチュアシリーズの進化が感じ取れると思いますよ。
砲塔、車体
まずは砲塔のパーツから。
以前の4号戦車系列なら砲塔上面パーツは1パーツで再現されていましたが、今回は各面を分割し再現度を上げています。
組立てにくさを嫌う方もいらっしゃるでしょうが、タミヤ製品なのでほぼ問題なしです。
分割された分、モールドもシャープで溶接跡も繊細に再現されています。
車体後部パネルもメリハリ効いてますね!
まだまだこの頃はシンプルだった車体上面の構造。
今までは省略されていた、車体前面に装備されたライトのコードも再現。
これをディテールアップするのが、中級者のたしなみみたいなもんでしたが、今後は不要ですね💦
フェンダー部分も先が薄く見えるよう加工されて、素組みで十分な厚さに・・
フェンダーを上面から。
フェンダーに差し込むピンや、下端の補強リブも再現。
短い75mm主砲も1パーツで再現。
流石にプラパーツでライフリングまでは再現されてませんでした。
こだわりの各種装備品
車外装備品はコチラのランナーで多く再現されてますね。
消火器
牽引ロープなどをつなげるS字シャックルやスパナ。
固定具と、固定するためのネジもモールドされています。
手軽さと再現度が高次元でバランスされてますね。
今回も装備品固定クランプの取っ手もモールドされています。
実物のように穴は開いてませんが、開けると取っ手がオーバースケール気味になるのでこれはこれで有りかと。
ジャッキ台も木目のモールドが刻まれ、車体に固定するベルトと金具も再現。
古いキットだと木目も金具も無くのっぺらぼうでしたからね~。
こういう細かいところに進化を感じます。
私個人的に今回一番の注目のポイント。
なんとアンテナがパーツ化されています。
破損に気を使いそうですが、今まで省略されてましたからね。
今後スタンダードとなっていくのでしょうか?
左 4号F型 右 ヴィルベルヴィント
ワイヤーカッターのディテールも以前よりかなり進化しています。
私手持ちの同じタミヤ4号戦車系列のキット、対空戦車ヴィルベルヴィントに付属のワイヤーカッターとの比較。
固定具からディテールから、かなり違いを感じますね。
砲塔の側面に付く、整備時などに使われるフックも正しい形状が再現できるようになっています。
キャタピラの再現度は?
キャタピラはタミヤ最近主流の部分連結式。
センターガイドの肉抜きされたタイプが1パーツで再現されていますね。
以前なら緩やかに弛んでいたところは全体で一枚で再現していたような所を、少しでも再現度を上げるためか、角度が急になる所は細かく分割して繋げるようになっています。
一見面倒なようですが、このような治具も付属しているので安心して組立出来ますね。
戦車兵にも注目のポイントが!
最近特に出来の良いタミヤ製の戦車兵は、一つのランナーにまとまっています。
下半身
服のシワも自然で良い感じです。
砲塔の真ん中に配置される戦車長はヘッドフォンをずらして直接他の乗員と会話している所を再現しています。
私も今 アップで見て初めて気づいたのですが、驚いたことに首に付けるマイクもモールドされています!
これはタミヤさん初なんじゃないでしょうか?もしくは今まで私が見えなかっただけ?!
砲塔左右に座る、おそらく装填手と照準手のお二人。
このスケールでなんと全て顔が違う事が確認できると思います。
また戦車長は常に警戒を怠らない厳しい表情なのに対し、他の二人は少し柔らかな表情である事まで見て取れます。
こんな凄いフィギュア、自分には塗装で引き立てられる自信ないですね~💦
また上半身はドイツ戦車兵の特徴的な襟を立体的に再現するため、もの凄い分割線で別パーツ化されていますよ。
その隙間にこの襟パーツが入るという・・・凄ッ!!
また首を差し込む部分には凸突起が有って
頭のパーツの首部分には凹部分が有って、すっぽり嵌って糊しろと、角度が自動的に決まってしまう安心設計。
御見それしました~!
まとめ
いかがだったでしょうか?タミヤの最新キット4号戦車F型。
パッと見は分からなくても、細かく見ていくと進化の跡がそこかしこに見て取れます。
キットを組みながら、強大なソ連軍に立ち向かった戦車兵たちのドラマに思いを馳せるのもまた一興かと。
私的にはこれらのシャープになったパーツやフィギュアで、H型やJ型のキットのリニューアルやアップデートを期待したいですね!
*1:覗き窓